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たんぱく質がストレスに関係?

たんぱく質がストレスに関係?

新生活の環境の変化や新型コロナウィルスによる不安など、これまで以上に不安やストレスを感じやすい時期かと思います。
日常を送っていると誰しも感じることのあるストレスですが、実は人はストレスを受けるとたんぱく質の必要量がいつもの数倍に増すということをご存じでしょうか?
今回は、ストレス時に特に必要なたんぱく質やストレスをサポートする栄養素についてお話します。

ストレスとは

ストレスとは、私たちの体に何らかの刺激が加わることで生じる歪みで、
それに対する心と体の正しい反応のこと(生体反応)をさします。

その考えかたを最初に医学の領域に取り入れたのは、
カナダの生理学者ハンス・セリエ博士です。
1936年に『ストレス学説』を提唱し、外界からの刺激に対して一定の
生体反応が存在することを初めて明らかにしました。

医学的には、外からの刺激に対する身体や心の反応のことを
『ストレス反応』と呼び、その反応を生じさせる刺激(ストレスの原因)
のことを『ストレッサー』と呼んでいます。

ストレスの原因~ストレッサー~

現代社会には様々なストレスが存在していますよね。
私たちの体や心に影響を及ぼすストレッサーも、種類がたくさんあります。
そして、その感じ方も人によって大きく変わります。

◆物理的ストレッサー(環境的ストレス)

天候の変化(気温、湿度、気圧)、騒音、明暗、放射線、ケガ、手術など

◆生物学的ストレッサー(身体的ストレス)

細菌、ウィルスなどの病原菌、睡眠不足、疲労、体調不良など

◆化学的ストレッサ―(科学的ストレス)

有害物質、薬物、酸素欠乏、農薬、食品添加物、栄養の過不足など

◆心理・社会的ストレッサー(精神的ストレス)

不安、緊張、人間関係、仕事上の問題、家庭の問題、経済的不安、
受験、事件など

このように日常の中で起こる様々な「変化=刺激」が、ストレスの原因です。
一見、ストレスとは関係がない進学や就職、結婚、出産といった
喜ばしい出来事も変化=刺激ですので、
実はストレスの原因になるともいわれています。

ストレスに対する生体反応

体は、外からの刺激に対して、体内環境を一定に保とうとする生体恒常性
(ホメオスタシス)を備えています。

これは、自分の体を周囲に順応させようとはたらいているのです。
例えば、真夏に汗が出るのは体表面を冷やし体温を保とうとしている反応、
冬に鳥肌がたつのは毛穴をしめて体温を保とうとする反応です。

しかし、長時間この状態が続いたらどうでしょう?
どっと疲れがでてきた、だるくなってきた、なんて経験ありませんか?

強いストレッサーが長く続くと、
気力も体力も奪われ、ついには体調を崩してしまいますよね。
じつは体は、強いストレスを感じてから限界に達するまでの間に、
三段階でSOSサインを出しています。

体のSOSに、あなたは気づけていますか?

①警告反応期(ストレスの初期反応)

ストレス刺激に対して適応しておらず、ショック状態の時期です。
持続時間はストレスの強さで異なり、数分から24時間程度と言われています。

血糖や体温、血圧などの低下、神経の働きが弱まり、
頭が真っ白になったり、思考の低下、脱力感などを感じます。


しかし、すぐに真逆の反応が起こります。
体が身を守ろうと攻撃態勢に入る準備期間とも言われています。
血流が高まって、ストレスに抵抗する副腎皮質ホルモンや
アドレナリンの分泌が増えるので、
「やってやる!」「どうにかしなきゃ!」など
モチベーションが高まったり高揚感を感じることもあります。

また、免疫メカニズムもストレスに対抗しようと
白血球やリンパ球が増え始めます。


さらに、急激にストレス刺激を受けた場合には、
体のたんぱく質が破壊されていくのを防いで
元に戻そうと再生する力(HSP)
が備わっていることが
近年わかってきました。

それについては、ラストに!ぜひ読み進めていってくださいね!

②抵抗期(防御力が整い、適応時期)


つよいストレスは去り、適応できている時期です。
ショック状態で傷ついた体を何とか維持、回復しようともします。
例えば、副腎は肥大して栄養を蓄え、
免疫反応で活発化していた胸腺とリンパ球の分泌が収まります。

※副腎は血圧、血糖、水分・塩分量などの体内環境を常にちょうど良い一定の
状態に保つためのホルモンをつくっている場所です。


しかし、見かけ以上に体内は荒れ果て、傷ついていることを
忘れがちになってしまう時期でもあります。

回復が進まないうちに、さらにストレスがかかると
すぐに次の疲憊(ひはい)期に突入してしまいます。

③疲憊(ひはい)期

長期間ストレスが続いたり、くり返されると、適応能力は限界に達して、
ついに体は抵抗力を失ってしまいます。

・ちょっとした人間関係のストレスだけだったのに、
 体温調節できなくなったり、消化不良を起こしてしまった…

・冷房の温度変化が苦手なだけだったのに、
 アレルギーや睡眠の質まで落ちたり、イライラするようになってしまった…

・ダイエットを頑張りすぎて、月経が止まってしまった…
 月経前後にメンタルの不調を感じるようになってしまった…


このような心と体のサインは、当たり前のように現代女性に起きています。
そのままにして、ストレス発散と称した暴飲暴食を繰り返していませんか?


いつしか思いもよらない部位に潰瘍ができたり、
うつや、糖尿病を発症することも大いにあります。


ストレスで消耗される栄養をしっかり補うことで、
未来の健康を守ることができます。

ストレスとたんぱく質

身体はストレスを受けると、体のたんぱく質を大量に消耗すると
いわれています。

それは、ストレス状態になると、副腎(腎臓の上にある臓器)から、
ストレスに対抗するためのホルモン「コルチゾール」が分泌されるためです。

ストレス時に分泌される「コルチゾール」は、体の中のたんぱく質を分解し、
血中にブドウ糖を放出(血糖上昇)するので、
長い間身体がストレスにさらされると、たんぱく質が不足してしまいます。

特に、物理的ストレッサー(環境的ストレス)であるケガなどの
急性のストレスでは、体から多くのたんぱく質が消耗します。

また、生物学的ストレッサー(身体的ストレス)である
過労や睡眠不足などが続くと、風邪を引きやすくなりますよね。

これはストレスでフル回転した免疫細胞が疲れきってしまったサイン。
細菌やウイルスと十分に戦うことができず感染症にかかりやすくなるため
ですが、免疫細胞である抗体や白血球、
リンパ球はたんぱく質を元に作られているため、
たんぱく質不足が大きな原因と考えられています。

ストレスによって身体のたんぱく質がいつも以上に消耗し、
加えて免疫機能にも関わることから、
たんぱく質が重要な栄養素といえることがわかると思います。

ストレスに負けない栄養ケア

ストレスの多い生活では、食生活が不規則になりがちです。
特に女性は甘いものがほしくなったり、
やけ食い・無茶食いに走ってしまう方も多いのではないでしょうか。

ストレスに負けない体づくりには、栄養素のバランスが一番大切ですが、
その中でも特にストレスを受けた時に
サポートしてくれる栄養素を紹介します。

たんぱく質(プロテイン)

ストレス時に副腎皮質から分泌する「コルチゾール」が、
身体の中のたんぱく質の分解を亢進させ、消耗させてしまいます。

ストレス時には特にたんぱく質の必要量が増すため、
積極的に摂取したい栄養素です。

ビタミンB群

ストレス時にはエネルギーを多く必要としています。
そのため、食事からの糖質、脂質、たんぱく質をどんどん分解するほかに、
筋肉や脂肪、肝臓に備蓄した糖質(グリコーゲン)をエネルギーに変えます。
糖質、脂質、たんぱく質をエネルギーへ変換するには、
ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸の
サポートが必要です。

なかでも、パントテン酸は副腎皮質ホルモン「コルチゾール」の生成に
必須の栄養素です。

ビタミンC

ストレス時においては、特にビタミンCの必要量が多くなります。
ビタミンCは、免疫細胞のエネルギー供給源とも言われるほどの存在。
ストレス時に発生する活性酸素を除去し、
たんぱく質やビタミンB群とともに抗体を作り、免疫力をUPさせます。

ビタミンCは、副腎に多く存在し、ストレス時に分泌する副腎皮質ホルモン
「コルチゾール」の生成にも関わるので、積極的に摂りたい栄養素です。

ミネラル

ストレス時に分泌する副腎皮質ホルモン「コルチゾール」
ノルアドレナリンにより、体内のカルシウムやマグネシウムの排泄が
高まります。
さらに、カルシウムには脳神経細胞の興奮を抑制する作用があるため、
特にカルシウム、マグネシウムの十分な補給が必要です。

トリプトファン

アミノ酸の一種で、感情を穏やかに保ちストレスを減らしてくれる
神経伝達物質「セロトニン」の材料となります。

「セロトニン」は、体のリズムを整えて快眠しやすい状態にする「メラトニン」
を生成します。ストレスを減らすだけでなく、
しっかりと睡眠をとって心と体の調子を整える必要があります。
「トリプトファン」を多く含む大豆製品やバナナ、かつお節などを意識してみましょう。

GABA(ギャバ)

アミノ酸の一種で、ストレスで過敏になってしまった
神経の興奮を抑え、リラックス状態へ導いてくれます。

セロトニンが快眠作用に対し、GABAは「入眠作用」といって
寝つきを良くしてくれる働きがあります。

「GABA」を多く含む発芽玄米や味噌、トマトやナスを意識してみましょう。

ストレスケアには「入浴」もおすすめ

ストレスをサポートする栄養素を摂るのはもちろんのこと、
休養・睡眠・適度な運動もとっても大切です。

冒頭にもお伝えしましたが、
急激にストレスを受けた場合には、
体のたんぱく質が破壊されていくのを防いで
元に戻そうと再生する力(HSP)
が備わっていることが
近年わかってきました。

ストレスたんぱく質(HSP
別名「ヒートショックプロテイン」が発動しはじめます。
肌や筋肉のアンチエイジング効果として注目されています。
もっとも効果的な方法が、「入浴」の習慣です。
40~42℃の湯に10~20分つかるだけで約2日間持続する研究データもあります。
疲れを感じ始めたら、たんぱく質をはじめとする栄養をしっかり補って、
ぜひお風呂につかりましょう。

いかがでしたか?
ストレスのメカニズムを知ることで、体のSOSサインを見逃さずに、
早めにストレス解消・対策を行っていってください。


【監修】豊原悠里

管理栄養士/予防医学指導士
大手化粧品会社にてインナービューティーのカウンセリング、トレーナーを経て、精神科クリニックで管理栄養士・代替医療カウンセラーに従事。発達の問題やメンタルケアを中心に予防医学、栄養療法のコラムやセミナー、執筆サポートをてがける。