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糖質制限はカラダに悪い?
巷(ちまた)で話題の糖質制限。
一昔前までは「カロリーコントロール」がブームでしたが、
最近では糖質制限をしている人が増えてきました。
糖質制限にはダイエットのみならず、疲労感や倦怠感の軽減など、
様々な健康効果があるといわれていて、
糖質制限に関するあらゆる情報が、テレビや書籍などでも出回っています。
しかし、その一方で、間違った情報で危険な糖質制限を行い、
健康を害してしまう人も少なくありません。
そもそも糖質制限はどうなのか?どんな方法がいいのか?
気を付けるべき注意点や、糖質制限のメリットデメリットなどを知ったうえで、
自分の体調や体質、目標やライフスタイルに合わせておこなっていくことをオススメします。
まずは糖質制限のメカニズムを知ろう!
そもそも、糖質制限はなぜダイエットや美容に良いとされるのでしょうか?
それには、カラダの糖質代謝の仕組みを知っておく必要があります。
私たちは生きるうえで必ずエネルギーを必要としており、糖質は主なエネルギー源になっています。
口から摂った糖質は、体内でブドウ糖にまで分解されて、
呼吸をしたり体を動かすための活動的エネルギーと、
考えたり記憶したりする脳のエネルギーとして消費されます。
とくに脳のエネルギーになるのはブドウ糖だけとされ、
医学界においても「砂糖は脳の唯一の栄養」と言われていました。
しかし最近では、脳は糖質を摂らなくても「ケトン体」をエネルギー源として
利用できるとわかっています。
ケトン体とは、簡単に言うと「脂肪の燃えカス」です。
ヒトが糖質を摂らなかったとき、カラダは体内の脂肪を燃やして、
「ケトン体」を作りだし、エネルギー源としてこれを使うのです。
つまり、厳しい糖質制限をすると、カラダや脳が使うためのエネルギーになる
糖が体内に欠乏するため、ケトン体を作り出すために体内の中性脂肪や
内臓脂肪を燃やし、脂肪を減らしていくため、ダイエットにも効果が
あるということなのです。
ここで注意が必要なのが、ケトン体を作り出す燃やすためのスイッチが入る人と
入らない人がいることです。ポイントはカラダの冷えです。
サラサラ油と言われるオメガ3系の油やココナッツオイルやエキストラバージン
オリーブオイルは、血の巡りを整え、スイッチが入りやすく導きます。
反対に、エネルギー源として使いきれない量の糖質を摂ると、
体は糖質を脂肪に変換して体に蓄えようとします。
これが、太るということです。
なので、糖質を最小量に抑えれば余分な脂肪もつきにくいというわけです。
そもそも糖質量はコントロールすべき?
現代人は「糖質過多」といわれているので、
糖質はコントロールしたほうがいいといわれています。
人間のカラダを、原始時代までさかのぼって考えてみましょう。
今より何万年も前、旧石器時代の人の糖質摂取量は、
1年間で小さじ約20杯のハチミツだったのに対し、
現代のアメリカ人の糖質摂取量は、1日で小さじ20杯以上もの砂糖を
摂っているといわれています。
日本においても欧米の食文化にならって、
ファストフードや甘いスイーツが増えたため同様のことが言えるでしょう。
また、サルからヒトに分化した約700万年前から現在を、[24時間]に例えた時、
たった2分前(約1万年前)まで人類は農耕を開始していなかっため、
狩猟によって「肉や魚」を食べていて、「糖質」は主食ではなかったのです。
また、現代のように白い砂糖(精製糖)が大量生産されたのはたった100年~150年前で、
これは24時間に例えると立った1.2秒前なんです。
つまり、人類が今のように大量の糖質を摂るようになった環境の変化や食生活の変化に、カラダの細胞進化がまったく追いついていないと考えられるのです。
糖質を摂りすぎていることに加えて、
現代は狩猟時代ほど歩いたり動いたりしないことを考えると、
現代人は激しい運動不足であるとも考えられます。
そうすると、摂った糖質がエネルギーとして使いきれず、
脂肪となって肥満の原因になったり、糖質そのものが処理しきれなくなって
糖尿病になったり、細胞自体が糖質を浴びたまま熱を帯びると
カラメル状に変化(糖化)してしまい、
お肌にダメージを与えたりなど、さまざまな老化や病気の原因
になってしまいます。
カラダの進化の過程から考えると、
現代人がいかに糖質を過剰に摂っているか想像ができますよね!
現代人は砂糖中毒(シュガーハイ)
さらに、糖質のなかには中毒性があるものがあります。
それが『白砂糖』です。
白い砂糖(精製糖)は、摂取したときに、
コカインを摂取したときに快感を感じるときと同じような反応が、
脳に現れることが分かっています。
- 3食、食べているのに疲れると甘いものが欲しくなる人
- 激しい運動をしていないのに何となく口さみしくなると甘いものが食べたくなる人
- よく甘いおやつを食べる人
- 3食が糖質中心(ごはん、パン、麺類)に偏りがちの人
- おなかが減るとイライラする人
- 甘いものを食べて「ほっ」と落ち着いた経験がある人
上記の項目に心当たりがある人は要注意。
もしくはすでに砂糖中毒(シュガーハイ)の可能性があります。
砂糖中毒(シュガーハイ)を抜け出すには
砂糖中毒(シュガーハイ)を抜け出すには、
砂糖をはじめ完全な「糖質断ち」を3日間すると中毒症状が抜けるといわれています。
主食の炭水化物を抜くだけではなく、甘い調味料(ケチャップやみりんなど)
や、根菜類など糖質が高い野菜もできるだけ避けていく、
厳しい糖質制限が糖質断ちには必要です。
糖質中毒の人は、厳しい糖質制限中に頭痛やめまいを感じることも
あるようですので、管理栄養士や専門医の指導を受けながら行いましょう。
まずは自分で行ってみたい人は、基本的な方法や注意点を
後半に載せていますので、参考にしてみてください。
糖質制限のメリット
摂りすぎてしまっている糖質量をコントロールすることによって、
さまざまなメリットがあります。
ダイエット
糖質制限の効果の中でも最も知られているのが、ダイエット効果です。
先に説明した通り、糖質は摂りすぎると脂肪に変換されて体内に蓄積され、
太ってしまいます。
逆に、足りなくなると体内の脂肪を燃やしてエネルギーにするため、
脂肪が減って痩せることができます。
中でも、中年の男性に多くなってきてしまう「中性脂肪」や「内臓脂肪」
のほうが、女性につきやすい「皮下脂肪」よりも燃えやすい性質を
持っているので、糖質制限では男性のほうが顕著な効果が出やすい
と言われています。
とはいえ、脂肪が燃えたりつきにくくなったりすることは変わらないので、
しっかりと取り組めば女性でも十分な効果が得られます。
美肌(エイジングケア)
ダイエット以外にも、糖質コントロールはエイジングケアにも効果的です。
摂りすぎた糖質は、体内で脂肪として蓄積されますが、
それでも余ると体内で「AGEs」という老化物質に変化してしまいます。
このAGEsが、肌の細胞を壊したり、肌の機能を衰えさせたりすることで、
シミやシワの原因となってしまうのです。
これを体の「糖化」といいます。
糖化はよく「体の焦げ」と例えられます。
例えば、パンケーキは小麦粉や砂糖などの糖質を混ぜて、フライパンで熱すると表面が焼けて「焦げ」ができます。
これと同じように、体内であふれた糖質が、体温の熱で熱せられ、
細胞が焦げてシミができてしまうようなイメージです。
必要量以上の糖質を過度に摂りすぎていると、
お肌をはじめとした体の劣化や老化につながってしまうので要注意です。
また、もっとひどくなると、見た目は太っていなくても、
糖が処理しきれずに尿からでてしまう「糖尿病」にもなってしまします。
糖尿病は一度なると完治が難しい重病です。
そうなる前に、普段の食生活から糖質の過剰摂取に気を付けていきましょう。
歯の健康
虫歯や歯周病の原因も、糖質(特にお砂糖)にあります。
摂った糖質によって口内の環境が酸化し、
エナメル質が溶けて虫歯が侵食しやすくなったり、
歯と歯茎の間にプラーク(歯垢)がたまりやすくなり、
虫歯菌や歯周病菌の巣を作ってしまったりなど、いくら歯を上手に
磨いていたとしても、糖質の摂りすぎやだらだら食べ
(口内にお砂糖がずっとある状態)は歯の健康をむしばんでしまいます。
また、糖質が多い現代の食べ物は全体的に柔らかく食べやすいものが多いため、
噛む回数が少なくなり、顎の筋力の低下や、唾液の分泌のバランスが崩れ、
歯並びをはじめ口の中全体の健康にも影響するといわれています。
歯並びが悪くなると歯が磨きづらくなり、
唾液が減ると酸化して溶けた歯の修復が間に合わなくなります。
そうすると、さらに虫歯や歯周病になりやすくなる、
という悪循環にはまってしまいます。
食後の歯磨きはもちろんのこと、だらだら食べをしないことや、
歯垢の原料になる糖質を摂りすぎないことで、
虫歯菌や歯周病菌の繁殖を抑え、一生つかっていくための大切な歯を
守っていくことにつながります。
疲労感
体に溜まった脂肪細胞は、体内で小さく炎症しています。
脂肪が増えすぎると、この小さな炎症が多くなり、
何となく体が疲れたりだるくなってしまいます。
糖質の摂りすぎと脂肪は、なんとなくの不調やだるさなどの原因にも
なっているのです。
また、糖質過多の食生活を続けていると、
血中の糖質の量(血糖値)を一定にコントロールするために分泌される
「インスリン」というホルモンの分泌量が増え、
血中の糖質を抑える働きが過剰になっていきます。
この状態を長きにわたり続けていると、いつの間にかインスリンの分泌量も
血糖値もコントロールできなくなってしまい、
少量の糖質でもインスリンが出すぎてしまい、血糖値がぐんとさがってしまう
低血糖の状態になります。低血糖の状態のときは、だるさや疲労感、激しい眠気がどっと来るといった症状がみられます。
するともっと糖質を欲しやすくなり、血糖値が急上昇と急降下を
繰り返すことになり、これが続くとⅡ型糖尿病やうつ病などの病を
引き起こすこともわかっています。
糖質制限のデメリットと注意点
ここまで糖質制限の仕組みやメリットを中心に解説してきましたが、
糖質制限はデメリットや注意点もあるので確認しておきましょう。
長期的なものはNG
長期的な糖質制限は、糖尿病になりやすくしたり、寿命を縮めるといった研究結果も出ています。
糖質制限はまだまだ医学界の中でも研究中のトピックですが、
少なくとも「長期的な糖質制限はカラダによくない」という見解が多いようです。
長期的というのは、半年~1年以上の厳しい糖質制限のことです。
現代人は糖質「過多」ですが、糖質もヒトのカラダにとっては
大切な栄養素です。
ダイエットを目的とするのであれば1か月~3か月を目安に、
あるいは、糖質を完全に断つのではなく、ゆるやかな糖質制限に
するなどして工夫しながらおこなっていきましょう。
栄養バランスが偏る
糖質制限をすると、食事メニューが偏ってしまい、
糖質以外の栄養素も偏ってしまう結果、栄養バランスが
崩れてしまうことがよくあります。
もちろん、肉や魚にはたんぱく質をはじめとし、良質な脂質や、
様々なビタミン・ミネラルも含まれていますが、
肉の種類、魚の種類もバリエーション豊かに、そして野菜や大豆製品、
発酵食品などもバランスよくとれるように糖質制限中も意識していきましょう。
あるいは、短期的な糖質制限であれば期間中、サプリメントなどで
ビタミンやミネラルを補給していくのがおすすめです。
水分が不足する
糖質制限をした場合、主食から摂れる水分の摂取量が減ってしまい、
便秘になってしまったり、代謝が悪くなってしまうことがあります。
主食のごはんや麺類の調理法を考えてみると、
もともとのお米や乾麺を炊いたり、
ゆでたりする時に多くの水分を含んでいることがわかります。
糖質制限中はこうした主食から摂れる水分摂取量がへってしまうため、
普段よりもさらに意識をして水分補給をする必要があります。
特に、厳しい糖質制限をしてカラダの代謝が糖代謝からケトン代謝に代わる際
に水分が必要とされ、一時的に尿の量が増えたり、脱水症状になったりします。
この時に水分が足りていないと、吐き気や頭痛、独特の体臭がおこるという人
もいるようです。
糖質制限中はこまめに水分補給をするようにし、
目安としては、1日2リットル~3.5リットルの水をこまめに分けて飲むようにしましょう。
糖質制限のレベル別やり方
糖質制限には、ダイエットや治療を目的とした厳しい糖質制限から、
健康維持やダイエット後のキープを目的としたゆるやかな糖質制限まであります。
ご自身の目的と体調に合わせて、無理なく取り組めるよう知っておきましょう。
厳しい糖質制限から緩やかな糖質制限までは、さまざまな考え方があり、
何段階かにレベルを分ける考え方もありますが、ここではわかりやすく2つのやり方を紹介いたします。
厳しい糖質制限
糖質中毒の不安がある人、
または、「ここ数年で体重が5kg以上増えた」「おなかだけポッコリと出ている」
という内臓肥満型体型のダイエットがしたい方へおすすめです。
厳しい糖質制限は、糖質量が一日10g以下を目指すもので、
主食のごはん、パン、麺だけでなく、甘い調味料や甘い果物、
根菜類や豆類(大豆を除く)など糖質が高い食材をすべて避ける食事法です。
代わりに、肉類、魚類、大豆製品などのたんぱく源と、きのこ類、
甘くないフルーツ(レモンやアボカド)、チーズ、葉野菜、ナッツ類などで
食事メニューを構成します。
厳しい糖質制限は、体への負荷や、メニューの偏りなどを考えても、
長くて1週間程度が適切です。
糖質中毒を断つための「糖質断ち」であれば3日間で十分ですので、
ダイエットの初日~1週間でやるのがおすすめです。
そのあとは、主食だけを抜いたやや厳しい糖質制限、もしくは、
次で紹介する緩やかな糖質制限にしていきましょう。
緩やかな糖質制限
緩やかな糖質制限は、巷では「ロカボ」とも呼ばれていたりします。
ロカボは一般的に、健康維持をしたい方、また、厳しい糖質制限後の体型維持、
リバウンド防止に効果的です。
このコラムでも紹介しているように、現代人の食生活は「糖質過多」の
傾向にあります。
ダイエットだけではなく、健康維持、老化防止のためにも普段から緩やかな
糖質制限を頭に入れておくことで、
体の不調などをご自身でコントロールできるようになります。
緩やかな糖質制限は、普段食べている主食(糖質)の量を半分~1/3に
していく方法です。
減らす量は個人の体質やライフスタイルによっても違うので、
ご自身で体調の変化を感じながらやってみてください。
もし、ダイエットを目的としている場合は、
尿中のケトン体がどのくらい出ているのか自宅で検査するシートも販売されていますので、
そのシートで、ケトン体がうっすらでるところを目指して主食の量を調整すると、
カラダの中の脂肪をうっすら燃やしている状態を可視化しながらキープできるだけではなく、
自分の活動量や代謝量に合わせた主食の適正量というのも発見することができるでしょう。
定食屋さんでご飯を小盛~半分にしてもらったり、
ランチタイムに主食を食べたら、夕食は主食を抜くなど、
1日の中で調整をするのもいいかもしれません。
日々の積み重ねとして、糖質を摂りすぎないようにコントロールしていき、
健康維持を目指しましょう。
また、糖質をカラダに吸収させないために食物繊維から食べることも大切です。
Bicleを上手に活用して、糖質のバランスを
Bicleを活用していただく中で、糖質コントロールを目的としてもらうのもいいかもしれません。
例えば、時間がなくてパンやおにぎりだけになってしまいがちな朝食。
もしコンビニや冷凍食品を使っているのであれば、
添加物も気になるところです。
Bicleはシェイカーでお水や牛乳、豆乳と混ぜるだけ。
大豆由来のプロテインで腹持ちもよく、糖質控えめでたんぱく質もしっかり
とれるので、まさに時間のない朝にはおすすめです。
または、小腹が空いてついチョコレートやスイーツなどの間食を
してしまうときのおやつの置き換えにBicleを飲んでいただいても、
腹持ちもよく、満足感が得られますよ!
あるいは、ランチタイムや帰りが遅くなってしまった夜にも、
糖質を抑えてサラダやスープだけ、といったご飯になってしまうと栄養バランスが偏ってしまいます。
デザート代わりにBicleを飲んでも栄養補給の一助になります。
Bicleを上手に活用しながら、糖質コントロールにもお役立てくださいね。
【監修】豊原悠里
管理栄養士/予防医学指導士
大手化粧品会社にてインナービューティーのカウンセリング、トレーナーを経て、精神科クリニックで管理栄養士・代替医療カウンセラーに従事。発達の問題やメンタルケアを中心に予防医学、栄養療法のコラムやセミナー、執筆サポートをてがける。