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人工甘味料とは
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人工甘味料は、化学合成により作られた甘味料であり、
食品衛生法における指定添加物に該当する甘味料です。
自然界に存在せず、化学的に合成して製造され、
合成甘味料とも呼ばれることもあります。
主に低カロリー製品における砂糖の代替甘味料として、
清涼飲料やガムなどの製品で使用され、砂糖の甘味に近づけるため、
複数の人工甘味料を併用している場合が多いのが特徴です。
砂糖不使用の飲み物が甘く感じられるのは、人工甘味料によるものです。
また、砂糖は酵母(イースト)の栄養源になるため、
酵母の繁殖による食品の品質劣化を防ぐため、保存性を高めるために
人工甘味料を用いられます。
代表的な人工甘味料の種類
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一般的に使用されている人工甘味料の種類をいくつかご紹介します。
アスパルテーム
現在最も有名な人工甘味料がアスパルテームかもしれません。
アスパルテームは糖質ゼロの飲料品などに利用されている人口甘味料です。
アミノ酸の一種であるアスパラギン酸とフェニルアラニンから構成され、
カロリーは砂糖と同じ1グラム当たり4キロカロリーでありますが、
甘味度は砂糖の200倍であるため、カロリーを低減することができます。
フェニルケトン尿症の人はフェニルアラニンを分解できないためその摂取量を制限する必要があり、表示上は「L-フェニルアラニン化合物」を含む旨を併記するよう定められています。
使用対象食品:ダイエット食品、清涼飲料水、菓子など
アセスルファムK(アセスルファムカリウム)
アセスルファムKは、アスパルテームと並んで広く使用されている
人工甘味料のひとつです。
酢酸由来のジケテンを原料として製造されます。
砂糖の200倍ほどの甘みを持ち、生体内で利用されないため
ノンカロリー甘味料として使用され、耐酸性、耐熱性等に優れています。
後味に、若干苦味があることと、耐熱性があるため、
クッキーやパンによく用いられます。
使用対象食品:砂糖代替食品、菓子、パン、清涼飲料水、漬物、つくだ煮など
スクラロース
スクラロースはかなり強い甘みを持った人工甘味料で、
その甘さは砂糖の600倍ほどだと言われています。
水に溶けやすく、砂糖に近いまろやかな甘味質で、
苦味や渋味はほとんど感じられません。
非う蝕性(虫歯菌など口内の細菌に利用されない)
のため、虫歯の原因になりません。
使用対象食品:砂糖代替食品、菓子、清涼飲料水など
サッカリン、サッカリンナトリウム
砂糖の500倍という極めて強い甘味をもちます。
サッカリンナトリウムは、水に溶けにくいサッカリンを
水に溶けやすくしたものです。
濃度が薄くなっても甘味が長く残る、いわゆる後味を持つ特性があります。
やや苦味のある後味ですが、ダイエット甘味料として用いられています。
使用対象食品:漬物、粉末清涼飲料、魚介加工品、しょう油、つくだ煮、煮豆、ビン詰、缶詰など
人工甘味料の健康リスクや副作用
アスパルテームは昭和58年、スクラロースは平成11年、
アセスルファムKは平成12年にそれぞれ食品添加物に指定されるなど、
人工甘味料は、食品衛生法で規制されている食品添加物です。
他の食品添加物と同じように一日摂取許容量(ADI)も定められています。
※ADI(Acceptable Daily Intake)人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量
人口甘味料が肥満や糖尿病発症のリスクを高める?
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人工甘味料は、ブドウ糖(グルコース)を含まないため、
人工甘味料を摂取しても血糖値は上昇せず、砂糖の代替甘味料として
肥満や糖尿病の予防や治療に有用と思われていました。
しかし、金沢医科大学医学部衛生学の調査では、
ダイエット清涼飲料水を週に1カップ(237ミリリットル)以上飲む人は、
飲まない人と比べて糖尿病発症の危険が1.7倍高かったという研究報告が
あがっており、
最近ではダイエット清涼飲料水の摂取が糖尿病発症リスクを高めることが
報告されています。
それは、人工甘味料は、血糖値やインスリン分泌に直接影響を与えないものの
腸内細菌叢の変化を介して糖代謝に影響することが影響されると
考えられています。
本来、日常の食事の中では、甘味の感覚に続いて血糖値が上昇しますが、
人工甘味料の場合は甘味の後に血糖値の上昇が起こらないため、
エネルギーの恒常性(ホメオスタシス)が崩れ、
脳の反応を介して摂食行動などが促進され、むしろ太りやすくなるという
仕組みです。
余計に甘いものが食べたくなる?
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また、人工甘味料の強い甘味に慣れてしまうと、甘味に対する感覚が鈍くなり、
より甘いものを多く摂取したいという欲求も出てくる可能性がある
ということが示唆されており、最近では、味覚を感じる味蕾細胞が
舌だけでなく腸管に存在することも明らかになり、腸管で甘味を感じると、
腸から分泌されるインクレチンというホルモンがインスリン分泌を促進し、
腸からの糖の吸収が促進されたりすることが報告され、
腸管での味覚刺激が糖代謝に影響する可能性も考えられています。
人工甘味料を含む食品の摂取は、メリット、デメリットを考慮し、
健康影響も考慮した上で摂取する必要があるといえます。
天然甘味料とは
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天然甘味料とは、食品から抽出した自然の甘みを精製し、
濃縮したものをいいます。
サトウキビやメープル、ハチミツなど、食品本来が持っている甘味を使用し、
人間の体にも優しい甘味料です。
カンゾウ抽出物(カンゾウエキス、グリチルリチン、リコリス抽出物)
マメ科カンゾウや同属植物の根や根茎を粉砕又は水で抽出したもので、
さらにそれを精製したものがグリチルリチンです。
甘草(カンゾウ)は、漢方の生薬でも使用されています。
甘さは砂糖の約200倍で、カンゾウ抽出物から、ナトリウム塩として
精製して得られるグリチルリチン酸二ナトリウムがありますが、
使用基準がありしょう油とみそにしか使えないことになっています。
使用対象食品:しょう油、みそ、漬物、つくだ煮、清涼飲料水、魚肉ねり製品、氷菓、乳製品など、広範囲に使われています。
ステビア(ステビア抽出物、ステビア末、ステビオサイド、レバウディオサイド)
南米原産のキク科ステビアの葉を粉砕又は水で抽出したもので、
さらにそれを精製したものがステビオサイドまたはレバウディオサイドです。
甘味は砂糖に近く、甘さは砂糖の約250~350倍でエネルギー摂取量を
抑えられ、糖質の制限もできるといった利点があります。
使用対象食品:ダイエット食品、健康食品、清涼飲料水、菓子など
アガベシロップ
アガベシロップは竜舌蘭(リュウゼツラン)属に属する植物のピーニャと
呼ばれる茎の部分より作られる天然の甘味料です。
メキシコでは古くからAguamiel(Honey Water)と呼ばれメキシコの人々の
喉を潤してきました。これを醗酵させたお酒がテキーラになります。
アガベシロップは果糖が主成分の為、GI値が低いのが特徴で、
甘さも砂糖の1.3倍もありながらカロリーは砂糖の75%しかないため、
ダイエット中にもおすすめの天然甘味料です。
※GI値とは、食後血糖値の上昇度合いを示す指標で、
数値が低いほど血糖値の上昇がゆるやかになります。
使用対象食品:ダイエット食品、健康食品、菓子など
メープルシロップ
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メープルシロップとは、カエデの樹液を採取し、煮詰めて濃縮することで
作られます。
メープルシロップの原料となるサトウカエデの原生林があるのは、
主にカナダの南東部で寒暖差のある気候が樹液の生産に適しています。
そのため、カナダのメープルシロップ輸出量は世界1位となっており、
日本で販売されているメープルシロップのほとんどがカナダ産です。
メープルシロップには、ミネラルやビタミンがバランス良く含まれています。
はちみつ
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ミツバチが花の蜜を集め体内で変化させ、巣の中で水分を蒸発させ
濃縮したものが、はちみつです。
はちみつは、どんな花から取られたかによって種類が分けられ、
花の種類によって味や風味も変わるのが特徴です。
はちみつもメープルシロップ同様、ミネラルやビタミンが
バランスよく含まれます。
甘味料の摂取は適度に
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砂糖の甘味料として、清涼飲料水やお菓子、パン、アルコール飲料などに
多く使用されていている人工甘味料や天然甘味料。
低糖質・低カロリーで糖質制限やダイエットをしている方の見方ですが、
糖質の働きが得られないというデメリットもあります。
糖質には「エネルギー源」、「神経伝達をサポート」、「腸内細菌のエサ」
など健康に寄与する重要な役割もあります。
甘味料以外の糖質も摂っていれば問題はありませんが、
甘味料の使用によって糖質を全て避けてしまうと、
エネルギー不足による倦怠感やイライラ、震え、腸内環境の悪化
などにつながります。
また、人工甘味料には
・摂りすぎると 味蕾細胞が鈍くなり、より強い甘みを欲するようになる
・ 長期にわたる摂取は逆に肥満や糖尿病リスクが高まる
など、身体に悪影響を及ぼす可能性があります。
適度な摂取や一時的な摂取は、健康維持に役立つこともありますが、
日常的な摂取や過剰摂取は避けた方が良いでしょう。
とくに、カロリーばかり気になってしまう人、
甘い飲み物がやめられない人、
つねに口さみしくて何か食べたい人は、
少なからず人口甘味料の影響を受けている可能性が…!!
天然甘味料のメープルシロップやはちみつ、アガベシロップには、
甘味のほか、ビタミンやミネラルが含まれます。
自然の香り豊かなので、味覚とともに嗅覚からも満足感が得られます。
甘味料を選ぶ際は、そのようなものを摂り入れるのがおすすめです。
【監修】豊原悠里
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管理栄養士/予防医学指導士
大手化粧品会社にてインナービューティーのカウンセリング、トレーナーを経て、精神科クリニックで管理栄養士・代替医療カウンセラーに従事。発達の問題やメンタルケアを中心に予防医学、栄養療法のコラムやセミナー、執筆サポートをてがける。