ビタミンは天然由来と合成原料でどんな違いがあるの?

ビタミンは天然由来と合成原料でどんな違いがあるの?

手軽に手に入りビタミンを補給できる「サプリメント」。実は一言でビタミンと言っても、天然成分もあれば、合成成分のものあるのはご存知でしょうか?
今回はその違いとサプリの選び方についてご紹介します。

1.なぜビタミンは必要なのか

ビタミンは、糖質、脂質、たんぱく質、ミネラルとならんで、
五大栄養素に数えられる、人体にとって欠かせない栄養素の一つです。

ビタミンには、脂溶性であるビタミンA、D、E、K、水溶性であるビタミンB、Cなど、
さまざまな種類がありますが、それぞれが食事からとった糖質、脂質、たんぱく質を、
体内でエネルギーや細胞の主原料として利用できるように、代謝をサポートします。

例えば、チョコレートを食べてすぐにニキビができる人は、
チョコレートの脂質をエネルギーとして代謝するためのビタミンB2やB3が不足しているからです。
糖質をエネルギーとして燃やすためにはビタミンB1が必要ですし、
きれいな肌をつくるためのコラーゲンは、たんぱく質・ビタミンC・亜鉛と鉄、
ハッピーホルモンと言われる「セロトニン」の材料には、たんぱく質・ビタミンB6がセットで必要です。
このように、カラダが糖質、脂質、たんぱく質を代謝させるためには、
必ず何かしらのビタミンがセットで必要なのです。
さらに、ビタミンは、老化の元凶となる活性酸素を除去して美と健康を保つなど、
体内で数えきれないほどの活躍をしてくれています。

ビタミンが極端に枯渇すれば、ヒトのカラダは本来のはたらきができなくなり、
最悪死に至るほど、欠かせない栄養素です。

ビタミン系のサプリメントが人気の理由

ビタミンを補給するために、マルチビタミンやビタミンC、
ビタミンB群のサプリメントを活用する人も多いと思います。
健康維持のためにもビタミンサプリメントが人気なのは、
次に挙げる理由で食事だけでは必要な量のビタミンを摂取しづらいためです。

1.食生活の偏り
2.調理方法によっても失われてしまうビタミンがある(特に水溶性ビタミン)
3.野菜などの食品中のビタミン量自体が少なくなっている

さらに、気温の変動や人間関係などの多種のストレスによって大量に消耗します。
こうした現代の事情を考えると、
不足するビタミンをサプリメントで補うというのは、
正しい対応ともいえます。

2.サプリメントに使用されている原料の見分け方

ビタミンの原料の違い:天然か合成か

サプリメントに使用されるビタミンは、天然由来のものと、
合成原料があるのはご存じでしょうか?

天然ビタミンとは
文字通り野菜や果物などの自然の食材を丸ごと使ったり、
自然原料からビタミン成分を抽出することで作られています。
「天然ビタミン」と「天然由来の合成ビタミン」に
分けられます。

合成ビタミンとは
化学的な方法で精製されるものを合成ビタミンといいます。
サプリメントが市場に出始めたころは、
合成と言えば「石油系」の原料でしたが、
最近は、合成でも天然原料から抽出して合成していく方法が多いです。
上記にも書きましたが「天然由来の合成ビタミン」になります。


天然ビタミンと合成ビタミンの見分け方は?

サプリメントや食品に使用されているビタミン系成分が
天然由来か合成かは、食品パッケージに必ず記載されている
「原材料名」を見ても、なかなか判断しにくいかもしれません。
それでも、天然ビタミンかどうかを判断するポイントを挙げてみましょう。

・「ビタミンC、ビタミンB₂、VC、VB₂…」と記載されている場合
成分名がそのまま記載されている場合は、
合成ビタミンが使用されていることを示します。
ただ、石油系原料なのか、天然原料をもとに合成されたものかは、
判断できません。石油系の場合は、コストが大幅に抑えられるので、
安価である場合が多いですが、心配な方はメーカーに問い合わせましょう。

・「アセロラ、グアバ、レモン皮…」と記載されている場合
食品名が記載されている場合は、
天然ビタミンが含有されていると判断できます!!


ぜひ、手元にあるサプリメントの原材料名を
一度チェックしてみてください!
天然ビタミンかどうかは、 簡単に見分けられるはずです。

3.合成ビタミンと天然ビタミンの効果は違うのか?

天然か合成か、精製方法だけを聞くと天然の方が良く聞こえてしまいますが、
合成ビタミンもきちんと製造されている限りは、
分子構造的には天然ビタミンと変わりありません。
当然、体内では同じように働いてくれるとされています。
薬として処方されるビタミン剤も、
合成ビタミンが使用されています。

ただ、中国生産も多く、原料価格もピンキリです。
安いものでは、衛生面で問題があったり、
化学的な精製過程で使用された薬品がしっかりと除去されておらず、
不純物として残留してしまうことがあります。
残念ながら、サプリメントのパッケージには、
「ビタミンがどれくらい含まれるか?」は記載されても、
「不純物がどれくらい入っているか?」は記載されていないのです。



4.天然ビタミンのメリット・デメリット

天然ビタミンのメリット

・ビタミンを抽出する食品には、他にも様々な栄養が含まれており、
それらと一緒にビタミンを摂取することで、
吸収効率が高まると言われている
・合成ビタミンの製造過程で問題となる不純物の混入リスクが少ない

天然ビタミンのデメリット

・野菜などの天然な食品から得られるビタミンは濃度が薄いため
必要量を入れようとする原価(商品価格も)が高くなってしまう

5.合成ビタミンのメリット・デメリット

合成ビタミンのメリット

・科学的に合成されるため、濃度が高い
(意図したビタミン成分自体を精製できる)
・天然ビタミンに比べて、製造コストが安い

合成ビタミンのデメリット

・クオリティが低いと、「光学異性体」と呼ばれるビタミン
に似ているようで、異なる成分の場合がある
・製造過程の薬品等、残留物が残っている可能性がある

6.サプリメントを選ぶうえでのポイント

吸収効率などを考えると、必要量が含まれる限りは
天然ビタミンの方がメリットは大きいです。
ただ、一般的には原料価格が高くなる分、
サプリメントの値段もどうしても高くなりがちです。

その点で、合成ビタミンもうまく取り入れていく必要がありますが、
注意したいのが、安価なサプリメントであるほど、
先述の通り成分品質に問題があったり、
不純物が混じってしまっている可能性も高くなる心配が。

これは、原料価格を下げようとして、不純物を取り除く工程が削られたり、
雑に行われることが少なくないためです。
実際に合成のビタミンCを例とっても、キロ単位の原料価格で、
数百円~数十万円まで開きがあるくらいです。

ですから、サプリメントの製造事情から考えると、
値段だけで商品を選ぶことはリスクがともなうということが分かります。

カラダのために摂取するサプリメントだけに、
かえってそれがマイナスになっていた!
なんてことは避けていきたいですね。

まずは、

☑天然由来か合成ビタミンかを意識する
☑吸収や代謝を考えて、ビタミンミネラルはバランスよく摂取する

(マルチビタミンがおすすめ)
☑価格だけで商品を選ばない
(値段が高ければ必ずしも良いとも言えませんが、

サプリメントを製造する側の視点からすると、
3000円~5,000円を下回る製品は心配になります)

ということだけでも、意識してみてはいかがでしょうか?


【監修】豊原悠里

管理栄養士/予防医学指導士
大手化粧品会社にてインナービューティーのカウンセリング、トレーナーを経て、精神科クリニックで管理栄養士・代替医療カウンセラーに従事。発達の問題やメンタルケアを中心に予防医学、栄養療法のコラムやセミナー、執筆サポートをてがける。

Bicle(ビクル)では、

  • 医師
  • 管理栄養士
  • 薬学修士
  • スポーツ栄養学の修士
  • 機能性食品や健康美容商品の企画開発・研究者

などの専門性を有するメンバーによって商品の企画・開発、記事の執筆等を行っています。