目次
カロリー制限の考え方
そもそもカロリーとは、何のことを指すのでしょうか。
カロリーというのは、エネルギーの単位の1つです。
定義では、1気圧のもと、1gのお水を1℃上昇させるのに必要な熱量のことを1cal(1カロリー)としています。
炭水化物は、わずか1gで4,000カロリーとなってしまうので、
食品などの表示では1,000の単位を表すkを付けて、1kcal(=1,000cal)と表示することが多いです。
カロリーは、エネルギーの単位なので、炭水化物だけではなく、3大栄養素であるたんぱく質、脂質にもあります。
たんぱく質1g当たりは4kcal、脂質1gあたり9kcal、炭水化物では4kcalのエネルギーが含まれています。
下記のような表示の場合、このような計算になります。
栄養成分表示
エネルギー 71 kcal
たんぱく質 6g → 6g×4kcal=24kcal
脂質 3g → 3g×9kcal=27kcal
炭水化物 5g → 5g×4kcal=20kcal
ナトリウム 〇mg
カルシウム 〇mg
ビタミンC 〇mg ….
☝このような場合は、
それぞれの栄養素が持っているエネルギー量を足して(24+27+20=71kcal)全体のカロリーが計算されています。
人間は体温を保ったり、カラダを動かすために「エネルギー」が必要です。
そしてそのエネルギーは、食事からとっています。
エネルギーがダイエットなどによって十分食事からとれないと、
筋肉や肝臓に蓄えられているグリコーゲンという糖のストックや、
カラダの脂肪を分解してエネルギーにしていきます。
この仕組みを使って、「摂取エネルギーを、カロリーを目安にして減らしていこう」というのが、
カロリー制限ダイエットの基本的な考え方です。
一方で、先ほどもお伝えした通り、
カロリーはエネルギーの単位なので、カロリーだけを見て何を食べるかを判断していては、
カラダの細胞をつくるための3大栄養素がきちんと摂取できず、エネルギー不足どころか、
栄養不足も招いてしまいます。
例えば、キレイな肌作りや集中力、筋力に必要なたんぱく質を多く含んだ200kcalの食品と、
お砂糖の塊200kcalでは、栄養の面では天と地の差です。
カロリーが低いからいい!という基準だけで食品や食材を選ぶと、かえって代謝を下げてしまったり、
筋肉が減って太りやすい体質にしてしまい、ダイエットにおいても逆効果なんです。
“やってはいけない”ダイエット
カロリー重視で栄養をとらない
カロリーだけを意識して、消費エネルギーよりも摂取エネルギーを減らすと、
たしかに溜まった脂肪を分解するため一時的なダイエットをすることは可能かもしれませんが、
健康を保つのに必要な5大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)が不足してしまい、
食べないダイエットによって生理がとまった、妊娠しにくくなってしまった人も多いのです。
カロリーだけではなく、基本的な栄養バランスを考えた食事
を摂ることがダイエットにおいては最も重要です。
たんぱく質を摂らない
ダイエットの食事コントロールのなかで最も避けたいのが、たんぱく質を摂らないこと。
たんぱく質の別名「プロテイン」は、ギリシア語で「最も大切なもの(プロテイオス)」
が語源になっていると言われるように、カラダにとって最も大切な栄養素です。
特に現代女性の食事では、なかなか必要な量のたんぱく質が摂取できていません。
じつは、肌の老化や肌荒れ、髪や爪の劣化といった美容面においても、
疲れやだるさなどの健康面においても、たんぱく質不足が大きく関わっていることがわかっています。
たんぱく質は、肌の60%、脳の45%、筋肉の80%、骨の30%、胃腸の65%をつくっています。
たんぱく質が不足するということは、これらの組織の材料が不足し機能が低下するということです。
肌荒れ、筋力の低下、冷え、むくみ、集中力の低下、精神的なイライラや鬱、生理不順、胃痛、便秘、骨折など
現代女性にみられる不調は、たんぱく質不足が大きな要因となっています。
また、適度な筋肉がくびれやキレイなボディラインをつくりますので、筋力低下によって猫背やたるみの原因にも。代謝がうまく回らないために結局リバウンドしてしまったり、さらに太りやすい体質になってしまう危険があります。
健康的で継続性のあるダイエットの秘訣は、たんぱく質をしっかりと摂っていくことです!
栄養バランスを考えない無理なカロリー制限では、一時の成功だけで未来が大変なことになった、なんてなりかねません。
栄養バランスを考えた食事コントロールをしていってくださいね。
糖質や添加物を摂りすぎる
「カロリーが少ないから」という基準で食べ物を選んでいくと、
糖質や添加物に偏った食事になってしまうことがあります。
例えば、下の2つのメニューを比べてみましょう!
・サバの塩焼き定食(550kcal)
・甘くてお砂糖たっぷりのキャラメルマキアートグランデサイズ(300kcal)
カロリーはキャラメルマキアートのほうが少ないですが、
たんぱく質や脂質、ビタミンやミネラルなど栄養面からいえば
やはり定食のほうが優れていますね!
お砂糖を中心とした糖質は、その場で消費エネルギーとして使いきれないと、体内に脂肪として蓄積されます。
これが、太るということです。
カロリーだけを気にして糖質ばかりの食事をしていては、
カラダに脂肪がたまっていってしまうのです。
また、青魚に含まれる脂質「オメガ3」は、カラダの代謝を促進するエンジンオイルのような役割。
必要な脂質をちゃんととっていないとカラダの代謝は上手に回りません。
たんぱく質も脂質も摂るべき栄養素です。
しっかりとバランスを考えて食事をしていきましょう。
また、カロリーオフを意識しすぎて、合成甘味料がたくさん入ったものばかり食べてしまう人もいます。合成甘味料は摂りすぎると、耐糖能(血糖値を正常に保とうとするカラダの働き)の障害や、
腸の善玉菌を減らしてデブ菌を増やしてしまうなど、ダイエットにとっても長期的には逆効果になってしまうことが心配されています。
また、合成甘味料自体がカラダの負担になってアレルギーや疲労感などの不調を招くこともありますので、
摂りすぎには注意が必要です。
極端にやる
カロリー制限は数字で管理しやすいため、
ストイックな人は極端に摂取カロリーを減らすような
ダイエットをしてしまうことがあります。
これは、一時的には体重や体脂肪が減るかもしれませんが、
カラダにとっては負荷が大きく、
さらにはリバウンドの原因にもなってしまいます。
カラダは極端にエネルギーが入ってこなくなると、
飢餓の危機を感じで「脂肪をため込みやすいモード」に突入し、
これからくる食料の不足に耐えようと準備してしまいます。
エネルギー源が食事から入ってこないので体内の脂肪などを燃やして
エネルギーとするため、一時的にはダイエットに成功したように思いますが、
元の食事量に戻したときに、カラダは脂肪をため込むモードになっているので、
「普段よりも食べていないのに、太りやすくなってしまう体質」
になってしまい、ダイエット前以上に太ってしまうというのが、
リバウンドの仕組みです。
カラダは一朝一夕では変わりません。
ゆっくりと、規則正しく体質改善をすることが実は一番の近道なのです。
運動しない
いくらカロリー制限をしていたとしても、
運動を全くしないダイエットは本質的ではありません。
そもそも運動は痩せるためだけではなく、
ホルモンバランスの調整やデトックスなど、
カラダの機能維持のために必要な活動です。
狩猟時代から比べて、ヒトのカラダそのものはほとんど進化していない
にもかかわらず、現代人はカラダを動かす時間が極端に減っているのが原因で、
様々な不調が起こっているのも事実なのです。
太ってしまうのもそんな不調の一種です。
なので、
ダイエットするときに運動を全くせず、
食事だけで改善しようとしては、筋肉量の低下につながったり、
カラダの機能の不調につながったりしてしまい、無理が出てきてしまいます。
激しい運動をする必要はありませんが、ウォーキングや階段を使うなど、
できるところから意識していきましょう。
キレイのためのダイエットとは?
では、カロリーだけを意識するのではなく、
キレイなカラダづくりをするためのダイエットは
何を意識したらいいのでしょうか?
脂質、たんぱく質をちゃんと摂る
カロリー制限の考え方には、
栄養が偏ってしまうという「落とし穴」があることは
先ほどご紹介した通りです。
カロリーを意識した食事制限をするときは、
特に「脂質、たんぱく質をちゃんと摂る」ということを
意識してほしいと思います。
先ほどご紹介した通り、脂質1gあたりは、炭水化物と比べても
カロリーが多くなりがちです。
なので、カロリーだけを意識していると脂質を避けてしまいがちですが、
脂質もカラダにとっては重要な栄養素です。
特に、青魚に含まれる脂質は脂肪燃焼を助ける効果や、
脳の働きをサポートする栄養素が豊富に含まれているといわれています。
また、ココナツオイルやオリーブオイルも、
カラダの代謝に関わる重要な働きをしてくれることがわかっています。
また、油は糖質をコーティングし、糖質の吸収を穏やかにすることもあります。
例えば、バターたっぷりのクロワッサンと、食パンでは、
クロワッサンのほうがカロリーは高いですが、
見方によっては糖質の吸収が穏やかに行われるため、
食事の満足度や体脂肪蓄積の観点からすると、良いとされることもあります。
逆に、高温に熱してから時間がたってしまった油
(お弁当の揚げ物やスナック菓子に含まれる油)や、
人工的に作られた油(マーガリングやショートニング、サラダ油)などは、
カラダを酸化させてしまったり、動脈硬化を誘発することが
あるといわれているので、脂質を摂るときは、
植物性の油もしくは新鮮な青魚、良質なお肉から摂ることがおすすめです。
筋肉をつける
ダイエットにおいては、食事制限だけではなく
運動によって筋肉をつけるという観点も忘れてはなりません。
筋肉をつけると体にとってうれしい効果がたくさんあります。
基礎代謝が上がる
まずは運動をして筋肉をつけることで基礎代謝が上がり、
食事から摂ったエネルギーを燃焼しやすくできるため、
太りにくいカラダづくりができます。
糖質が脂肪にならない
筋肉には、エネルギー源のひとつである「グリコーゲン」を
ストックする機能があります。
グリコーゲンは、すぐにエネルギーになる糖のストックです。
このグリコーゲンを筋肉の中でため込めなくなると、
脂肪として体の別の場所にため込まれます。
つまり、筋肉量が増えれば、糖質が脂肪に変わる前に燃えてくれるということ。
筋肉量が多いほうが太りにくい(脂肪をため込みにくい)体質
になることが可能です。
水分も保てる
筋肉にはカラダの水分を貯めておく仕組みもあります。
脂肪の保水率が10%~20%なのに対し、
筋肉は75%~80%の水分を保持することができます。
男性よりも女性のほうが乾燥に悩ませられてしまいがちなのは、
この筋肉量の違いにもあるかもしれません。
加えて、人間は年齢を重ねるごとにカラダに貯めている水分量は
低くなっていきます。
生まれたばかりの赤ちゃんはなんとカラダの80%が水分で、
大人になるとだいたい60%~70%、
60歳以上になると50%ほどになってしまいます。
カラダの水分が減ると、
- 便秘になりやすい
- 静電気が起きやすい
- 肌の乾燥
- かかとのひび割れ
- 汗がかけない
- 口がねばねばする
といった悩みにつながってしまいます。
体の水分を保ち、赤ちゃんのような潤い肌を保つためにも、
筋肉量を減らさないように運動を心がけていく必要があります。
カロリー制限で気を付けることまとめ
カロリーだけを気にした食事制限の危険性と、
キレイに痩せるためのダイエットの考え方をまとめます。
1.カロリーだけではなく栄養バランスで食事を考える
2.5大栄養素をしっかりと摂る
3.筋肉をつける(運動をする)
4.添加物の摂りすぎに気を付ける
カロリーは、摂取エネルギーの目安になるので、
食べすぎを注意していくときに参考することはとても大切です。
しかし、カラダの組織を作っていくための栄養バランスを考えた食事を
とっていくことが、キレイのためのダイエットの基本です。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
【監修】豊原悠里
管理栄養士/予防医学指導士
大手化粧品会社にてインナービューティーのカウンセリング、トレーナーを経て、精神科クリニックで管理栄養士・代替医療カウンセラーに従事。発達の問題やメンタルケアを中心に予防医学、栄養療法のコラムやセミナー、執筆サポートをてがける。